ホルモン補充療法は、更年期障害に有効ですが、更年期から少しずつ進み始め、老年期に発症する生活習慣病の予防にも効果が期待されています。エストロゲンの減少で進行する骨粗しょう症や動脈硬化症の予防効果は、多くの例で実証されています。

 

 

骨粗しょう症の予防

女性はもともと骨密度が低く、エストロゲンが骨代謝を保護するなど、骨密度の維持に重要な役割を果たしているため、エストロゲンの減少により、閉経後、骨密度が急激に低下します。エストロゲンは、骨を溶かす細胞(破骨細胞)の働きを抑え、骨をつくる細胞(骨芽細胞)の働きを促す作用をもつため、エストロゲンが減少すると、骨を溶かす働きが骨をつくる働きよりも活発になり、骨が減少してしまいます。骨の代謝は、エストロゲンをはじめとする、複数のホルモンによってコントロールされています。

 

女性の骨量は、20~30代でピークに達した後、40代になると減り始め、閉経後数年から十数年でピーク時の2~3割程度に減少します。骨粗しょう症は、骨密度がピークの時の7割を下回るまで減少した状態であるため、早い人では閉経後すぐ、50歳前半から発症している場合もみられ、その後60代になると症状が進み、骨がスカスカの軽石のようになり、骨折しやすくなります。

 

骨粗しょう症は、一般的に、小柄で痩せている人がなりやすく、カルシウムやビタミンの不足、喫煙・飲酒の習慣、運動不足、月経不順などが、発症の原因となります。骨密度の低下は無症状で進行するため、実際には骨折して初めて気づくことも多く、すでに骨量がかなり減少しており、元に戻すのはかなり難しい状況になります。

 

ホルモン補充療法は、更年期とともに進む骨密度の低下を食い止め、骨粗しょう症を予防するための有効な治療法です。

 

 

動脈硬化症の予防

閉経は、心筋梗塞や脳血栓など、虚血性心臓病や脳血管障害の危険因子で、エストロゲンの働きで抑えられていた血中のコレステロールが、閉経によるエストロゲンの減少のため増加し、更年期を過ぎると急増します。エストロゲンが減少すると、血液中の悪玉コレステロールが増加、善玉コレステロールが減少し、動脈硬化を進行させ虚血性心臓病や脳血管障害の発生率を高めます。

 

エストロゲンには悪玉コレステロールを減少させ、善玉コレステロールを増加させる働きがあり、また血管を開き、血管壁へのコレステロール沈着を防ぐ作用もあります。ホルモン補充療法でエストロゲンを投与することで、コレステロールを減少させ、動脈硬化を防ぐことができます。ただし、エストロゲンには血液を固まりやすくする作用もあるので、動脈硬化症を発症している場合、症状を促進させ、虚血性心臓病や脳血管障害の危険性を高めるという報告もあり、日本では動脈硬化症が進んでいる人には、ホルモン補充療法は勧められないと考えられています。

 

 

アルツハイマー型認知症の予防

ホルモン補充療法を受けている女性には、アルツハイマー型の認知症が少ない、アルツハイマー型認知症の人に、エストロゲンを投与した結果、症状が改善されたという報告もあります。

 

また、閉経後に記憶力は低下していきますが、ホルモン補充療法を行うと、記憶力の低下が改善するということもしられています。

 

 

 

2015年12月16日更新